金属の水素化物

水素化物とは、水素と他の元素との二元化合物のことです。
メタン(CH₄)やアンモニア(NH₃)のような分子状化合物と、ここで扱う金属の水素化物に分けられます。
金属の水素化物は、元の金属と似た性質をもっています。水素原子が水素イオン(H⁺)ではなく、水素化物イオン(H⁻)の状態になっているため還元性が強く、水と激しく反応して発熱し、水素を発生して水酸化物になります。
また、金属の水素化物に属する水素化ナトリウムや水素化リチウムは、塩類似水素化物と呼ばれ、塩が油に溶けないように有機溶媒には溶けません。
水素化ナトリウム NaH | |
性 質 | ◆灰色(市販品)の結晶で、比重1.4。 ◆高温にすると、ナトリウムと水素に分解する。 ◆ベンゼンC₆H₆や二硫化炭素CS₂に溶けない。 ◆水と激しく反応して、水素を発生する。 NaH + H₂O → NaOH + H₂ ◆還元性が強く、金属酸化物や有機化合物を還元する。 |
危険性 | ◆室温で乾いた空気中では安定であるが、湿つた空気中では自然発火する。 |
貯蔵・保管 | ◆酸化剤及び水分と接触させない。 ◆窒素を封人した容器に密閉する。または、鉱油中に分散させて密閉する。 |
消火方法 | ◆乾燥砂、消石灰(水酸化カルシウム)、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)、金属火災用粉未消火剤(塩化ナトリウム)を用いて消火する。 ◆水系の消火剤(水・強化液・泡)は、使用してはならない。激しく反応して水素を発生する。 |
水素化リチウム LiH | |
性 質 | ◆灰色(市販品)の結晶、または透明のガラス状固体。比重0.8。 ◆高温にすると、リチウムと水素に分解する。 ◆室温で乾いた空気中では安定である。 ◆一般に、溶媒にはほとんど溶けない。 ◆水と激しく反応して、水素を発生する。 LiH + H₂O → LiOH + H₂ ◆還元剤として使われる。 |
危険性 | ◆加水分解により大量の水素を放出する。 |
貯蔵・保管 | ◆酸化剤及び水分と接触させない。 ◆窒素を封入した容器に密閉する。 |
消火方法 | ◆乾燥砂などを用いて消火する。 ◆水系の消火剤(水・強化液・泡)は、使用してはならない。激しく反応して水素を発生する。 |
性状ポイント
●金属の水素化物は、強い還元性を有する。
●金属の水素化物は、有機溶剤に溶けない。
●金属の水素化物は、水と反応して水素を発生する。
●金属の水素化物は、高温で分解して水素を発生する。
●金属の水素化物は、強い還元性を有する。
●金属の水素化物は、有機溶剤に溶けない。
●金属の水素化物は、水と反応して水素を発生する。
●金属の水素化物は、高温で分解して水素を発生する。
貯蔵・消火ポイント
●不活性ガスを封入、または鉱物油中で貯蔵する。
●消火には、乾燥砂等、消石灰、ソーダ灰を用いる。
●水系、二酸化炭素、ハロゲン化物の消火剤は使用できない。
●不活性ガスを封入、または鉱物油中で貯蔵する。
●消火には、乾燥砂等、消石灰、ソーダ灰を用いる。
●水系、二酸化炭素、ハロゲン化物の消火剤は使用できない。