硫化リン

危険物の性質と火災予防・消化方法 - 第2類(可燃性固体)
硫化リン

硫化リンは、リン(P)硫黄(S)の化合物(硫化物)です。
硫化リンに属する主な危険物には、リンと硫黄の組成比により、三硫化四リン(三硫化リン)、五硫化二リン(五硫化リン)、七硫化四リン(七硫化リン)がります。

三硫化リン(P₄S₃)
性 質 黄色の結晶、比重2.0。発火点100℃。
水に溶けない。二硫化炭素及びへンゼンには溶ける。
◆硫化リン中、最も安定している。
◆冷水とは反応しない。
危険性 熱水で徐々に分解し、硫化水素H₂Sとリン酸H₃PO₄を生じる。
◆硫化水素は腐卵臭のする有毒ガスで、可燃性である。
◆硫化リン(三硫化リン・五硫化リン・七硫化リン)は、燃焼すると亜硫酸ガスSO₂とリン酸化物(P₄O₁₀など)を生じる。
貯蔵・保管 ◆火気・衝撃・摩擦を避ける。◆容器は密栓する。
消火方法 ◆乾燥砂で窒息消火する。
◆水系の消火剤は硫化水素が発生するため、使用を避ける。

 

五硫化リン(P₂S₅)
性 質 淡黄色の結晶、比重2.1。発火点142℃。
◆二硫化炭素に溶ける。
危険性 水で徐々に分解し、硫化水素H₂Sとリン酸H₃PO₄を生じる。
貯蔵・保管 ◆火気・衝撃・摩擦を避ける。◆容器は密栓する。
消火方法 ◆乾燥砂で窒息消火する。
◆水系の消火剤は硫化水素が発生するため、使用を避ける。

 

七硫化リン(P₄S₇)
性 質 淡黄色の結晶、比重2.2。
◆二硫化炭素にわずかに溶ける。
◆硫化リン中、最も加水分解されやすい。
危険性 水で徐々に分解し、硫化水素H₂Sとリン酸H₃PO₄を生じる。
貯蔵・保管 ◆火気・衝撃・摩擦を避ける。◆容器は密栓する。
消火方法 ◆乾燥砂で窒息消火する。
◆水系の消火剤は硫化水素が発生するため、使用を避ける。

 

性状ポイント

●硫化リンは、黄色または淡黄色の結晶で、二硫化炭素に溶ける。
●融点は、ウムは、三硫化四リン<五硫化二リン<七硫化四リン、の順。
●硫化リンは、水または熱水と反応して硫化水素を発生する。
●硫化リンは、燃焼すると二硫化硫黄と十酸化四リンを生じる。
貯蔵・消火ポイント

乾燥砂等、リン酸塩類等の粉末消火剤を用いる。
水系消火剤は使用できない。

 

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