金属のリン化物

危険物の性質と火災予防・消化方法 - 第3類(自然発火性物質及び禁水性物質)
金属のリン化物

リン化物とは、リンと金属元素からなる化合物のことです。
このうち、アルカリ金属やアルカリ土類金属のリン化物は、水と激しく反応するため、第3類の危険物に分類されています。
金属のリン化物に属する主な危険物には、リン化カルシウムがあります。
リン化カルシウムは、暗赤色の塊状固体または結晶性粉末で、比重は1より大きく水より重い物質です。
それ自体は不燃性で、常温(20℃)の乾燥した空気中では安定していますが、水や弱酸と反応して分解し、有毒で可燃性のリン化水素(PH₃)を発生し、発火することがあります。
また、火災により、有毒で刺激性や腐食性のある十酸化四リン(五酸化二リン:P₄O₁₀)を発生します。

リン化カルシウム  Ca₃P₂
性 質 ◆暗赤色の結品性粉末、または灰色の塊状固体、比重2.5。
弱酸または湿った空気と激しく反応し、ホスフィンPH₃(リン化水素)を生成する。また、加熱によっても容易に分解する。
 Ca₃P₂ + 6H₂O → 3Ca(OH)₂ + 2PH₃
◆リン化水素は毒性が強い可燃性ガスである。また、空気中で自然発火する特性もある。
◆リン化カルシウム自体は不燃性であるが、生成されるリン化水素が自然発火性をもたらし、同時に禁水性の原因ともなる。
◆リン化水素は腐った魚の臭いが強く、無色である。また、吸入すると肺気腫を起こし、昏睡状態に陥る。
◆リン化水素は、燃焼すると腐食性で有毒な十酸化四リン(P₄O₁₀)を生成する。
◆リン化カルシウムは、常温(20℃)の乾燥空気中では安定している。
危険性 ◆水分及び酸と反応してリン化水素を生成する。
強酸化剤と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。
貯蔵・保管 ◆水分及び酸の他、強酸化剤と接触させない。
消火方法 ◆乾燥砂などを用いて窒息消火する。
◆水系の消火剤(水・強化液・泡)は、使用してはならない。

 

性状ポイント

●暗赤色の固体で、比重は1より大きい。
●常温の乾燥した空気中では安定である。
●水や弱酸と反応してリン化水素を発生する。

 

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