金属粉

危険物の性質と火災予防・消化方法 - 第2類(可燃性固体)
金属粉

金属粉とは、消防法上、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、鉄、マグネシウム以外の金属の粉を指します。
このうち、銅粉、ニッケル粉および目開きが150㎛(マイクロメートル)の網ふるいを通過するものが50%未満のものは、危険物から除外されています。
金属は一般に、火災危険の対象とされていません。これは、金属が熱の良導体であるため酸化熱が蓄積されにくいこと、酸化が表面に限られ内部までは及ばなことからです。
しかし、粉状の金属は、酸化表面積が増大して熱伝導率が小さくなるため、加熱などにより容易に発火のおそれがあります。
金属粉に属する危険物には、アルミニウム紛亜鉛紛があります。

アルミニウム(Al)
性 質 ◆銀白色の軟らかい軽金属粉。アルミニウムの比重2.7。
◆水とは徐々に反応し、水素を発生する。
両性元素であり、及び強塩基のいずれの水溶液にも反応して水素を発生する。
◆空気中で燃やすと、白色炎を発して酸化アルミニウム(アルミナ:白色粉末)を生じる。
◆空気中ではその表面にち密な酸化被膜をつくる。
危険性 ◆空気中で浮遊していると、粉じん爆発の危険性が生じる。
空気中の水分及び酸化力め強いハ口ゲン元素と接触すると、自然発火する危険性が生じる。
◆酸化剤と混合したものは、加熱・摩擦・衝撃により発火しやすい。
◆加熱した状態にして二酸化炭素雰囲気中に浮遊させると、CO₂の酸素原子と反応して発火するおそれがある。
貯蔵・保管 還元力が強く(テルミット反応を示す)、ハ口ゲン元素などの酸化剤とは隔離する。
◆湿気を避け、容器に密閉する。
消火方法 ◆乾燥砂などで窒息消火する。
◆ソーダ灰(炭酸ナトリウムNa₂CO₃)や金属火災用消火剤も使用できる。
◆水系の消火剤、ハ口ゲン化物消火剤は反応するため、使用してはならない。

 

亜鉛紛(Zn)
性 質 青みを帯びた銀白色の粉末。亜鉛の比重7.1。
高温の状態では水蒸気と反応し、水素を発生する。
両性元素であり、酸及びアルカリと反応して水素を発生する。
◆室温で乾燥していると、ハ口ゲンとは反応しにくいが、水分があると容易に反応する。硫黄とは、高温にすると反応して硫化亜鉛ZnSを生じる。
◆空気中ではその表面に酸化被膜をつくる。
危険性 ◆危険性はアルミニウム粉に準じる。ただし、危険性はやや低い。
貯蔵・保管 ◆還元力が強く、ハ口ゲン元素などの酸化剤とは隔離する。
◆湿気を避け、容器は密栓する。
消火方法 ◆乾燥砂などで窒息消火する。
◆水系の消火剤、ハ口ゲン化物消火剤は反応するため、使用してはならない。

 

性状ポイント

●金属粉は、酸、アルカリ、熱水などと反応して水素を発生する。
●金属粉は、空気中の水分、ハロゲン元素と反応して自然発火する。
貯蔵・消火ポイント

最も有効な消火方法は、乾燥砂等で覆うこと。
水系消火剤は使用できない。

 

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