アゾ化合物

危険物の性質と火災予防・消化方法 - 第5類(自己反応性物質)

アゾ化合物とは、分子中にアゾ基(-N=N-)を有する化合物の総称です。
アゾ基が窒素(N₂)に分解するものは不安定で、加熱などによって急激に分解します。
アゾ化合物のうち、アゾ基の片方にアルキル基(CₙH₂ₙ₊₁)をもつアゾ化合物は液体ですが、アゾ基の両方にべンゼン環などを含むアゾベンゼンなどの芳香族アゾ化合物はすべて固体です。
また、芳香族アゾ化合物は安定な固体で、色素となるものが多く、合成染料として使用されています。
一般に、アゾ化合物はに溶けにくい物質です。
アゾ化合物に属する主な危険物には、アゾビスイソブチロニトリルがあります。

アソビスイソブチロ二トリル [C(CH₃)₂CN]₂N₂(AIBN)
性 質 ◆特異臭を有する白色の針状結晶。
◆水にはほとんど溶けないが、エタノール、ベンゼンには溶ける。
熱・光により容易に分解する。
◆分子中に酸素を含んでいないが、分解が自己加速的であり、多量の窒素ガスなどを発生する。発生するガス中には、有毒なシアン化水素HC=Nが含まれる。
◆アルコール、酸化剤、アセトン、アルデヒド、ヘプタンなど炭化水索と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。
危険性 ◆空気中に粒子が細かく拡散すると、粉じん爆発のおそれがある。
◆衝撃・摩擦を加えると、爆発的に分解するおそれがある。
貯蔵・保管 ◆分解すると窒素ガスなどが発生するため、容器は密封しない。
◆日光を避け、換気のよい冷暗所で貯蔵する。
消火方法 ◆大量の水(散水等)で消火する。

 

性状ポイント

●アゾ基の片方にアルキル基を持つアゾ化合物は液体である。
●芳香族アゾ化合物は全て固体である。
●アゾ化合物は、水に溶けにくい。