カルシウムまたはアルミニウムの炭化物

危険物の性質と火災予防・消化方法 - 第3類(自然発火性物質及び禁水性物質)

炭化物とは、炭素と陽性元素(陽イオン)からなる化合物のことです。
カルシウムまたはアルミニウムの炭化物に属する主な危険物には、炭化カルシウム炭化アルミニウムがあります。

炭化カルシウム CaC₂(カーバイト)
性 質 純品は無色~白色の結晶、流通品は不純物のため灰色のものが多い。
◆比重2.2。
流通品は、不純物と湿気が反応して発生する微量のリン化水素PH₃(腐魚臭)、硫化水素H₂S(腐卵臭)、アンモニアNH₃による不快臭がする。
◆水と反応して、アセチレンと水酸化カルシウム(消石灰)を生じる。
 CaC₂ + 2H₂O → C₂H₂ + Ca(OH)₂
◆常温(20℃)の乾燥空気中では安定している。ただし、高温では強い還元性があり、多くの酸化物などを還元する。
危険性 ◆炭化カルシウム自体は不燃性であるが、水との反応で発生するアセチレンは引火性・爆発性を有する。
貯蔵・保管 ◆水分と接触させない。
◆必要に応じ、窒素を封入した容器に密閉する。
消火方法 ◆乾燥砂、粉未消火剤などを用いて消火する。
◆水系の消火剤(水・強化液・泡)は、使用してはならない。

 

炭化アルミニウム Al₄C₃
性 質 ◆無色~黄色の吸湿性結晶またほ粉末で、比重2.4。
と反応して、メタンCH₄を発生する。
 Al₄C₃ + 12H₂O → 3CH₄ + 4Al(OH)₃
危険性 ◆水との反応で発生するメタンは引火性・爆発性を有する。
貯蔵・保管 ◆水分と接触させない。
◆必要に応じ、窒素を封入した容器に密閉する。
消火方法 ◆乾燥砂、粉未消火剤などを用いて消火する。
◆水系の消火剤(水・強化液・泡)は、使用してはならない。

 

性状ポイント

●どちらも純粋なものは、無職または白色の結晶で、比重は1より大きい。
●炭化カルシウムは、水と反応して発熱し、アセチレンと消石灰を発生する。
●炭化カルシウムは、高温で窒素と反応して石灰窒素を生ずる。
●炭化アルミニウムは、水と反応して熱とメタンを発生する。
貯蔵・消火ポイント

乾燥した場所に貯蔵する。
必要に応じて不活性ガスを封入する。
容器は密封して貯蔵する。