過酸化水素

危険物の性質と火災予防・消化方法 - 第6類(酸化性液体)

過酸化水素は、酸化性が強いため、一般には水溶液として扱われ、漂白剤、酸化剤、医薬品などに利用されています。
たとえば、身近なところでは衣類の漂白剤、髪の毛の染毛剤やブリーチ剤などに使用されています。
工業用では、紙の原料のパルプや古紙の漂白剤、金属類の研磨などの表面処理、土壌浄化や排水処理などにも広く用いられています。
過酸化水素の3%水溶液に安定剤を加えたものは、医療用の外用消毒剤として利用され、オキシドールまたはオキシフルと呼ばれています。

過酸化水素は、純粋なものは色の液体で、強い酸化性を有します。
ただし、過マンガン酸カリウム(KMₙO₄)のような、さらに酸化性の強い物質に対しては、還元剤として働くことがあります。
とは任意の割合で混合し、水溶液は弱酸性を示します。エタノールジエチルエーテルにも溶けますが、ベンゼンなどには溶けません。
アルカリ性のアンモニアと接触すると、爆発のおそれがあります。
きわめて不安定で濃度が50%以上になると、常温(20℃)でも分解して酸素を発生し、熱や日光によっても、すぐに酸素に分解します。
分解を抑制するため、安定剤としてリン酸尿酸アセトアニリドなどが用いられます。
貯蔵にあたっては、分解して酸素を発生するため、容器は密栓せず、穴の開いた栓をして通気性を保ちます。
流出したときは、大量の水で洗い流します。
消火にあたっては、大量の水水系消火剤による冷却消火が有効です。

過酸化水素(H₂O₂)
性 質 ◆純粋なものは粘性のある無色の液体。
 ただし、多量の場含は青色を呈す。
◆比重1.5。
◆水に溶けやすく、水溶液は弱酸性である。また、エタノールやジエチルエーテルにも溶ける。
◆強い酸化剤である。ただし、強い酸化剤に対しては還元剤として作用する。
常温でも水と酸素に分解して熱を発する
◆分解を防くため、安定剤としてリン酸・アセトアニリド・尿酸などが添加される。
危険性 ◆鋼・鉄・マンガン・ニッケルなどの金属、または有機物・可燃物が存在していると、激しく分解して発熱し、爆発するおそれがある。
◆塩基性のアンモニアと接触すると、爆発の危険性がある。
◆高濃度のものは皮膚を腐食する。
貯蔵・保管 ◆容器には通気孔のある栓を用いる。冷暗所に保管する。
消火方法 ◆大量の水を用いる。

 

性状ポイント

●より酸化性の強い物質に対しては、還元剤として働く。
●水とは任意の割合で混合する。
●エタノールやジエチルエーテルには溶けるが、ベンゼンには溶けない。
●安定剤として、リン酸、尿酸、アセトアニリドを使用する。
●アルカリ性のアンモニアと接触すると爆発する。
貯蔵・消火ポイント

容器は密栓せず、穴の開いた栓を使用する。
流出時は、大量の水で洗い流す。
消火には、大量の水、水系消火剤、リン酸塩類等の粉末消火剤、乾燥砂等を用いる。