有機過酸化物

危険物の性質と火災予防・消化方法 - 第5類(自己反応性物質)
有機過酸化物

有機過酸化物とは、一般に過酸化水素(H₂O₂)の水素原子(H)(1つないし2つ)が炭素原子で置き換えられた化合物の総称です。
有機過酸化物の性質は、分子内にある-O-O-結合に由来します。
-O-O-結合は結合力が弱く、非常に不安定で、点火によって敵しく燃焼し、一定の条件下で爆発的に分解します。
有機過酸化物に属する主な危険物には、過酸化ベンゾイルエチルメチルケトンパーオキサイド過酢酸があります。

過酸化ベンゾイル (C₆H₅CO)₂O₂
性 質 ◆白色または無色で、無臭。
◆結晶状・粉状・粒状
◆比重 1.3。
◆融点103~105℃(分解温度)
◆水、エタノールにはほとんど溶けない
 ただし、ジエチルエーテルやベンゼンなどの有機溶媒に溶ける
強力な酸化作用を有する。このため、可燃性物質や還元性物質と爆発的に反応する。アルコールアミンと激しく反応。
危険性 ◆乾燥状態で着火すると、爆発的に燃焼する。
◆融点以上に加熱すると、爆発的に分解し有毒な煙を発する。
◆衝撃・摩擦に鋭敏で、爆発的に分解しやすい。
◆熱や衝撃などの他、によっても分解が促進される。
◆皮膚に触れると軽度の皮膚炎を起こす。
貯蔵・保管 ◆市販品は爆発防止のため、水で湿らせて純度を下げている
◆加熱・衝撃・摩擦を避ける。◆容器は密栓し、冷暗所に貯蔵する。
消火方法 ◆大量の水(散水等)または泡消火剤を用いる。

 

メチルエチルケトンパーオキサイド
性 質 ◆特異臭のする無色の油状液体。
◆引火点58℃以上。
◆水に溶けないが、ジエチルエーテルに溶ける。
◆40℃以上になると分解が促進される。
危険性 日光(紫外線)や強い衝撃によって分解する。
◆鉄や銅などの金属と接触すると、分解して爆発の危険がある。
貯蔵・保管 内圧が高くなると分解が促進されるため、容器のフタは通気性のあるものを使用する。
消火方法 ◆大量の水(散水等)または泡消火剤を用いる。

 

過酢酸 CH₃CO₃H(40%濃度)
性 質 ◆強い刺激臭(酢酸臭)のする無色の液体。
◆比重1.2、蒸気比重2.6。
引火点41℃
◆水、エタノール、ジエチルエーテルによく溶ける。
◆強力な酸化剤であり、可燃性物質や還元性物質と激しく反応する。また、助撚作用もある。
危険性 110℃に加熱すると爆発する。
◆皮膚や粘膜を腐食する。
貯蔵・保管 ◆火気厳禁。◆換気良好な冷暗所に可燃物と隔離して貯蔵する。
消火方法 ◆大量の水(散水等)または泡消火剤を用いる。

 

性状ポイント

●有機過酸化物は、-O-O-結合を有するため不安定である。
●有機過酸化物は、低い温度で分解して発火する。
●有機過酸化物には、強力な酸化作用がある。
●有機過酸化物は、直射日光などにより分解して爆発する。
貯蔵ポイント

有機過酸化物は、乾燥状態で取り扱わない。
有機過酸化物は、強酸類や酸化されやすい物質との接触を避ける。
有機過酸化物は、直射日光を避け、冷暗所に貯蔵する。

 

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