重クロム酸塩類

危険物の性質と火災予防・消化方法 - 第1類(酸化性固体)
重クロム酸塩類

重クロム酸塩類とは、重クロム酸(H₂Cr₂O₇)の2個の水素イオン(H⁺)が金属などの陽イオンで置き換えられた化合物である重クロム酸塩の総称です。
重クロム酸は、日本の慣用的な名称で、国際的な名称は 「二クロム酸」といいます。
重クロム酸塩類に属する主な危険物には、重クロム酸カリウム重クロム酸アンモニウムがあります。

重クロム酸カリウム(K₂Cr₂O₇)
性 質 ◆橙赤色の結晶、比重2.7。
◆水に溶けるが、エタノールには溶けない。
◆水溶液をアルカリ性にすると、色が橙赤色から黄色に変わる。
◆500℃で酸素を放出して分解する。
危険性 ◆有機物との混合物は、加熱・衝撃で爆発する危険性がある。
貯蔵・保管 ◆有機物と隔離する。◆加熱・衝撃・摩擦を避ける。◆容器は密栓する。
消火方法 ◆注水により消火する。

 

重クロム酸アンモニウム (NH₄)₂Cr₂O₇
性 質 オレンジ色(橙赤色)の針状結晶、比重2.2。
◆水に溶けやすく、エタノールにも溶ける
◆約180℃に加熱すると、融解せずに酸化クロムや窒素などに分解する。
(NH₄)₂Cr₂O₇ → Cr₂O₃ + N₂ + 4H₂O
危険性 ◆有機物との混合物は、加熱・衝撃・摩擦で爆発する危険性がある。
◆ヒドラジン及びその水和物と混触すると、爆発することがある。
貯蔵・保管 ◆有機物と隔離する。◆加熱・衝撃・摩擦を避ける。
消火方法 ◆注水により消火する。

 

性状ポイント

●重クロム酸カリウムは、水に溶けるが、エタノールには溶けない。
●重クロム酸アンモニウムは、水にもエタノールにも溶ける。
●重クロム酸カリウムは、加熱すると酸素を発生する。
●重クロム酸アンモニウムは、加熱すると窒素を発生する。
貯蔵・消火ポイント

水系消火剤やリン酸塩類等の粉末消火器、乾燥砂等を用いる。
二酸化炭素消火剤、ハロゲン化物消火剤には効果がない。

 

関連記事