カリウム

危険物の性質と火災予防・消化方法 - 第3類(自然発火性物質及び禁水性物質)
カリウム

カリウムは、アルカリ金属に属しますが、消防法では、その危険性から独立した品名として掲げられています。
有機化合物の合成やカリウムナトリウム合金が原子炉冷却剤などに使用されています。
アルカリ金属であるカリウムは、電子を放出して1価のイオンになりやすい物質です。

カリウムは、銀白色の軟らかい金属で、比重は1より小さく吸湿性があります。
強い還元性を有するため、きわめて酸化されやすく、常温(20℃)の空気中でも酸化されます。
水と激しく反応して発熱し、水素を発生します。
高温では二酸化炭素から酸素を奪ったり、ハロゲン元素とも激しく反応して発火したりします。
融点以上に加熱すると、色の炎を出して燃焼します。また、他の金属材料や皮層をおかす腐食性があります。
貯蔵にあたっては、水分や空気と接触しないよう乾燥した場所で、灯油などの保護液中に露出しないように注意しながら、小分けして貯蔵します。
カリウムは融点が低く、火災が発生した場合、融解して流動性をもち、拡散してしまうことがあります。

カリウム(K)
性 質 ◆銀白色の軟らかい金属、比重0.86。
◆淡色反応:赤紫。
◆アルカリ金属の単体の反応性は、K>Na>Liである。
と激しく反応して水素と熱を発生する。また、吸湿性がある。
 2K + 2H₂O = 2KOH + H₂ + 389KJ
◆ハロゲン元素とも激しく反応する。
◆高温では水素とも反応し、水素化カリウムKHを生成する。
◆有機物に対して強い還元作用を有する。
危険性 ◆水と反応すると、発生する水素が反応熱のために発火して、カリウムとともに燃焼する(この反応が速くなると爆発する)。
◆腐食性があり、触れると皮膚をおかす。
◆空気中の水分と反応して、自然発火することがある。
貯蔵・保管 ◆乾燥した場所で貯蔵する。
◆灯油や流動パラフィン(ナトリウム参照)などの保護液中に貯蔵する。
◆空気中での反応性が強いため、あらかじめ小分けにした状態で貯蔵する。
消火方法 ◆乾燥炭酸ナトリウムNa₂CO₃、乾燥石灰(水酸化カルシウム等)、乾燥砂、膨張ひる石(バーミキュライト)などで消火する。
◆水系の消火剤(水・強化液・泡)は使用できない。また、還元性が強く反応するため、二酸化炭素消火剤及びハロゲン化物消火剤も使用できない。
注:水と反応して生成される水酸化カリウムが、二酸化炭素と反応し吸収する。ナトリウムち同様である。

 

性状ポイント

●銀白色の金属で、比重は1より小さい。
●強い還元性を有し、きわめて酸化されやすい。
●水と激しく反応して発熱し、水素を発生する。
●加熱すると紫色の炎を出して燃焼する。
貯蔵・消火ポイント

●乾燥した場所に貯蔵する。
●灯油などの保護液中に小分けして保管する。
●消火には、乾燥砂等、炭酸水素塩類等の粉末消火剤を用いる。
●水系、二酸化炭素、ハロゲン化物、リン酸塩類等の粉末の消火剤は使用できない。

 

関連記事