ナトリウム

危険物の性質と火災予防・消化方法 - 第3類(自然発火性物質及び禁水性物質)
ナトリウム

ナトリウムは、カリウムと同じアルカリ金属に属しますが、消防法では、その危険性から独立した品名として掲げられています。
過酸化ソーダの製造や染料、医薬品などに利用されています。
アルカリ金属であるナトリウムは、電子を放出して1価のイオンになりやすい物質です。

ナトリウムは、銀白色の軟らかい金属で、比重は1より小さく吸湿性があります。
強い還元性を有するため、きわめて酸化されやすく、常温(20℃)の空気中でも酸化されます。
アルコールと反応して水素を発生し、水と激しく反応して発熱し、水素を発生します。
高温では二酸化炭素から酸素を奪ったり、ハロゲン元素とも激しく反応して発火したりします。
融点以上に加熱すると、色の炎を出して燃焼します。また、他の金属材料や皮層をおかす腐食性があります。
貯蔵にあたっては、水分や空気と接触しないよう乾燥した場所で、灯油などの保護液中に露出しないように注意しながら、小分けして貯蔵します。
ナトリウムは融点が低く、火災が発生した場合、融解して流動性をもち、拡散してしまうことがあります。
カリウムとナトリウムの大きな違いは、燃焼したときの炎の色です。
また、ナトリウムは、融点や沸点がカリウムより高いなどの理由で、反応性はカリウムよりやや低くなります。

ナトリウム(Na)
性 質 ◆銀白色の軟らかい金属、比重0.97。
◆炎色反応:黄色。
◆反応性はカリウムよりも弱い
◆水と激しく反応して水素と熱を発生する。
 2Na + 2H₂O = 2NaOH + H₂ + 369KJ
◆ハロゲン元素とも激しく反応する。
還元作用を有する.
危険性 ◆水と反応すると、発生する水素が反応熱のために発火して、ナトリウムとともに燃焼する(この反応が速くなると爆発する)。
◆腐食性があり、触れると皮膚をおかす。
◆空気中の水分と反応して、自然発火することがある。
貯蔵・保管 ◆乾燥した場所で貯蔵する。
◆灯油・流動パラフィン・軽油などの保護液中に貯蔵する。
 ※流動パラフィン・・・炭化水素化合物の一種で、常温で無色の液体。ホワイトオイルともいう。
◆空気中での反応性が強いため、あらかじめ小分けにした状態で貯蔵する。
消火方法 ◆膨張ひる石(バーミキュライト)、乾燥炭酸ナトリウムNa₂CO₃、乾燥炭酸カルシウムCaCO₃、乾燥塩化ナトリウムNaCl、乾燥砂などで消火する。
◆水系の消火剤(水・強化液・泡)は使用できない。また、還元性が強く反応するため、二酸化炭素消火剤及びハロゲン化物消火剤も使用できない。

 

性状ポイント

●銀白色の金属で、比重は1より小さい。
●強い還元性を有し、きわめて酸化されやすい。
●アルコールと反応して水素を発生する。
●水と激しく反応して発熱し、水素を発生する。
●加熱すると黄色の炎を出して燃焼する。
貯蔵・消火ポイント

●乾燥した場所に貯蔵する。
●灯油などの保護液中に小分けして貯蔵する。
●消火には、乾燥砂等、炭酸水素塩類等の粉末消火剤を用いる。
●水系、二酸化炭素、ハロゲン化物、リン酸塩類等の粉末の消火剤は使用できない。

 

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